『言いたいことが言えない…』を克服!臨床心理士が教える自己表現が楽になる小さな習慣5選

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トップ画像。自分の気持ちを見つめているイラスト
  • 「友達の誘いを断れず、本当は行きたくないのに行ってしまった・・・」
  • 「本当はこの仕事が負担なのに、上司には『大丈夫です!』と言っちゃう・・・」
  • 「こっちだって言い分があるのに!!でも相手の反応が怖くて言えない・・・」

あなたもこんな経験はありませんか?

相手の反応や周りの雰囲気を気にして、言いたいことが言えないという悩み。

自意識過剰だよ。周りはそこまで気にしていないよ

こういう事はよく言われますが、

それでもなかなか自分の意見を言えなかったり、無理して相手に合わせてしまうことってありますよね。

私たちは、同じように悩まれている方々の相談をたくさん受けてきました。

そこで共通しているのは、

  • 周りの目を気にするのは、人として自然な感情で、異常ではない。
  • 意見が言えないのは、あなたが情けないからではなく、人間関係を大事にしているから。

あなたの良さを残して、少しの勇気と工夫で、自分らしいコミュニケーションもきっと見つかります。

余計なストレスは減り、もっとのびのびと自分らしく過ごせるようになるでしょう。

この記事を読み終える頃には、何か一つでもあなたのお悩みが楽になりますことを願っています。

目次

背景にある心理:なぜ自分の意見が言いにくいのか?

大前提として、私たちは社会的な生き物です。

その気持ちは、誰もが持つ大切な感情です。

大切だからこそ、私たちは社会の中で協力しあって生きていけるのです。

ところが以下のような心理が強く影響すると、周囲のために自分の気持ちを押し殺してしまいます。

過去の否定的な体験が影響を与えている

過去に自分の意見を言ったことで、誰かに強く否定されたり、気まずい雰囲気になった経験はありませんか?

  • 子どもの頃、親や先生に『わがままを言うな!』と叱られた
  • 職場で意見を言ったら、冷たい目で見られたような気がした
  • ある人が意見を言った後に、陰口を言われているのを見聞きした

そうした経験が心に強く残ってしまい、

無意識の思い込みや行動パターンを形成していくことがあります。

「また同じ思いをするかもしれない」
「自分は同じ目に遭いたくない」

無意識に自分の意見にブレーキをかけてしまうのです。

これは、自分を守るための自然な反応とも言えます。

いわゆる過去の体験が、今の人間関係に影響を与えてしまうパターンです。

場の空気を乱してはいけないという協調性

「間違ったことを言ったらどうしよう」
「変な人だって思われたくない」

こういった不安も、意見を伝える際の大きな壁になりがちです。

特に、場の空気を読もうとする優しい人ほど、このような不安を感じやすいかもしれません。

私たちは子どもの頃から、社会の中で生きていくうえで大事なことを教わります。

  • 「協調性が大切!」
  • 「周りに合わせましょう!」

集団生活をしていく中で大切な考えです。

一方で、自分の気持ちを押し殺すこととイコールになってしまうこともあります。

その教えを真面目に守ろうとするあまり、自分の気持ちより周りの調和を優先しすぎる癖がついてしまうのです。


これらの理由は一例ですが、決してあなたが「弱いから」「ダメだから」ということではありません。

むしろ、あなたが周りとの関係を大切にしている証拠でもあるのです。

ただ、そのバランスが少しだけ、あなたを苦しめているのかもしれません。

自分の意見を相手へ伝えられる5つの解決ステップ

STEP1 自分の「本当の気持ち」に気づく練習

  • まずは、日常生活の小さなことから

    「本当はどういう気持ち?」
    「本当はどうしたい?」


    と自分に問いかけてみましょう。

    ずっと相手に合わせる生活をしていると、自分の意見や本音を表現する機会がなくなります。

    自分の気持ちに気づく力が鈍ってしまうので、

    まずは自分が何を感じているか?

    本当はどうしたいか?に目を向けてみましょう。
  • たとえば、

    「今日は何もやりたくないなー」
    「この場所にいると落ち着くなー」

    どんな些細なことでも構いません。

    誰にも見せない日記やスマホに、感じたことを書き出すのもいいでしょう。

    信頼できる人に『今どんな気持ち?』と聞いてもらったり、

    感情リストから今の気持ちに当てはまるものを選ぶのもおすすめです。

    このように自分の気持ちを言葉にすることで、客観的に見つめやすくなります。
  • この気づく練習は、周りの声で埋もれる「自分の本当の気持ち」を聞き取るトレーニングになります。

    これは「セルフアウェアネス(自己認識とも呼ばれます)」を高めるとも言い、

    ストレスをコントロールする重要な概念です。

STEP2 小さな「イエス」「ノー」から始めよう

  • 自分の気持ちや意見が見えてきたら、それを表現してみましょう。

    しかし、今まで言いたくても言えなかった人からすると、自分の気持ちや意見を表現するのはハードルが高いものです。

    まずは、日常生活の中で比較的伝えやすい、小さな「イエス」や「ノー」から始めてみましょう。

    必ず「表現しなければいけない!」ではありません。表現しなかったとしても、自分の中で葛藤を残さず、それに納得できているかどうかが大切です。
  • たとえば、

    お店で「袋はご利用ですか?」と聞かれた時に、
    「いえ、大丈夫です」と自分の意思を伝えるのも立派な一歩です。

    友人からの「今度〇〇に行かない?」という誘いに対して、
    もし気が進まなければ「誘ってくれてありがとう。でも、その日はちょっと予定があって難しいんだ、ごめんね」と正直に伝えてみる。

    会議での発言は難しくても、配布資料の抜け漏れや欲しい資料をそっと伝えるのもいいでしょう。
  • 大切なのは、相手を否定することなく、自分の状況を伝えること。

    そして、いきなり重大な場面で表現するのではなく、些細な場面から始めることです。

    小さなハードルから始めていき、最終目標の行動(大事な場面で気持ちを伝えられるなど)を獲得するスモールステップという考え方が、現状から変化を起こしていくのに役立ちます。

STEP3 安心できる相手に、少しずつ自分の考えを話してみよう

  • あなたが「この人になら安心して話せる」と思える相手を選んで、小さな「イエス」や「ノー」以外にも自分の考えや感じたことを少しずつ話してみましょう。
  • 「今日こんなことがあって、私はこう思ったんだよね」という感じで、日々の出来事とセットで話すと伝えやすいかもしれません。
  • 自分の言葉で伝えたことを相手が受け止めてくれる経験は、自信を少しずつ育ててくれます。

    このポジティブな体験が過去の否定された体験を上書きしていく。

    無意識の思い込みや行動パターンを修正していくことにも繋がります。

STEP4 反対された場合を想像してみる

  • 気持ちを伝えることへの躊躇いのほとんどは、

    「もし反対されたらどうしよう」
    「変に思われたらどうしよう」

    という未来への不安から来ています。

    その場合は「もし反対されたり、否定的な反応が返ってきたら、具体的にどんな状況になるのか?」と一回想像してみましょう。

    「その時に、自分はどう対応できるか?」と考えるのもいいです。

    そして「最悪の事態」と「現実的に起こりそうな事態」を分けて想像してみるとより効果的です。
  • たとえば、

    会議で意見を言って反対されたとしても、自分への攻撃といった人格や能力を否定されるわけではありません。

    単なる意見の違いが出ただけ、と捉えることもできます。

    繰り返される人格や能力の否定など明らかな攻撃の場合は、ハラスメントやDVといった別の問題の対策となるでしょう。
  • 案外、想像していたよりも深刻な事態にはならないかもしれません。

    仮に反対されて動揺しそうでしたら、一旦は「そうなんですね」と受け止めて、すぐ反論しなくてもいいと決めておくのもいいでしょう。

    言えること自体が大きな一歩なのです。

STEP5 相手に提案や要望を伝えたい時はIメッセージを活用しよう

  • 意見や要望を伝える時、

    「あなた(You)は~すべきだ!」「普通は~だ!」
    という言い方をすると、
    相手は責められたように感じてしまうことがあります。

    その場合は、
    「私(I)は~と思う」「私(I)は~だと感じる」
    というように、自分を主語にして言い換えてみましょう。

    これを「I(アイ)メッセージ」と言います。
  • たとえば、

    「(あなたは)どうして連絡してこなかったの?(Youメッセージ)」ではなく、

    「私は、連絡がこなくて心配だった(Iメッセージ)」という形です。
  • Iメッセージは、自分の意見を伝えつつも、相手に柔らかく受け取ってもらいやすいコミュニケーション方法です。

とはいえ、言うのは簡単ですが、実際にやってみるのは勇気がいることですよね。

誰しも今まで慣れていなかった行動を始めようとするのは難しいものです。

ただ、実際に難しいと感じるのは、自分を変えようとしている、あなたのひたむきな努力の証拠でもあります。

うまくいかなくても決して自分を責めたり、一人で抱え込まないで、一つ前のステップに戻ってみたり、私たちのサポートをいつでも利用してくださいね。

最後に:
自分のペースで大丈夫。
「ありのままの私」を少しずつ表現していくことで、人間関係はもっと楽になります
  • 「自分の意見を言えるようになる」「周りの目を気にしすぎないようになる」ことは、一朝一夕にできることではありません。

    今日ご紹介したステップを参考に、焦らず、ご自身のペースで、できることから少しずつ試してみてください。
  • 大切なのは、完璧を目指すことではなく、昨日よりほんの少しでも「自分の気持ちを大切にできたな」と感じられる瞬間を増やしていくことです。

    そして、出来た時は些細な事でも今までと違う事をしたわけですから、ご自身を褒めてあげてください。

    それをノートに書くのもいいですし、『ステップ1の〇〇をクリア!』みたいにスタンプを押していくと、ご自身の変化が目に見えて分かりますね。
  • もし、周りの目を気にしてしまう苦しさがどうしても拭えなかったり、自分の意見を言えないことで日常生活に支障が出ている場合は、一人で抱え込まずに私たち専門家の力を借りることも考えてみてください。

    カウンセリングでは、あなたが安心して自分の気持ちを話せる場所を提供します。

    なぜ意見が言いにくいのか、どうすればもっと楽にコミュニケーションが取れるようになるのかを、専門的な視点から一緒に考えていくことができるので、よかったら利用してみてください。

今日紹介した内容と関連する記事には、以下が参考になりますので、よかったら読んでみて下さい。
①もっと深く自分のコミュニケーションの癖と向き合いたい方はこちら(「アサーティブコミュニケーションとは?」)
②過去の経験が現在の考え方や行動に影響していると感じる方はこちら(「認知行動療法とは?」)
③現在の対人関係の距離感を見つめ直したい方はこちら(「対人関係療法とは?」)

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この記事を書いた人

とげまるのアバター とげまる 臨床心理士・公認心理師

臨床経験11年(2025年時点)
小中高のスクールカウンセリング、外部EAPにて企業のメンタルヘルス支援を経て、現在は精神科・心療内科クリニックと企業社内カウンセラーとして勤務。
専門領域:認知行動療法、人間性心理学、復職支援、心理教育
趣味:youtube鑑賞、食べ歩き

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