機嫌が悪い、性格がキツイ人に振り回される心理と対処法4選

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トップ画像。人に振り回されて、あちこち動いてしまっているイラスト
  • 「あの人の顔色をうかがうのは疲れる…」
  • 「なんであんな態度をするの?しんどい」
  • 「あの人の一言で気分が最悪…関わりたくないけど、どうしたらいいんだろう」

いつも言葉にトゲがあって、感情の起伏が激しい人に振り回される。会うたびにどっと疲れてしまう…。

あなたもそんな経験はありませんか?

「私が何か悪いことをしたのだろうか?」
「どうしてあの人はいつもあんな態度なんだろう?」

と悩んでしまうのは、あなたが優しい心の持ち主だからこそかもしれません。

でも、その優しさがあなたを苦しめているとしたら…そんなことはもったいないです。

この記事を読み終える頃には、明日から使える対処法が分かり、相手の感情を流せるようになるでしょう。

あなたがこれ以上、他人の不機嫌に振り回されることなく、自分らしい穏やかな毎日を送れるようになることを、心から応援しています。

目次

背景にある心理:
なぜ他人の不機嫌やキツイ言葉に影響されてしまうのか?

大前提として、私たちは社会的な生き物であり、周りの感情や態度に対して敏感に反応するようにできています。

特に、相手の怒りや不満といったネガティブな感情は、私たちが生きていく上で「危険信号」として認識されやすいです。

だから、相手の反応を見て、緊張したり、不安になったりするのは自然な反応なのです。

一方で、バランスを取ろうとし過ぎると、逸脱した反応を取る人に対して敏感になりやすいです。

相手の期待に応えすぎてしまう

社会的な生き物であるからこそ、

  • 「相手の期待に応えたい」
  • 「周りと円滑な関係を築きたい」

このような気持ちは、集団生活を営む上で多くの人が抱いているものです。

そのため、相手が不機嫌だったり、キツイ態度を取ったりすると、

「自分の対応が悪かったのかもしれない…」
「自分がもっとうまくやらなければ!」

集団生活のバランスを取ろうとして、不安になります。

必要以上に相手の顔色を気にして、相手の感情や機嫌の責任まで背負い込んでしまうこともあるのです

自分の常識と一致しない

あなたの中にある常識(~べき)によって、心をかき乱されてしまう場合もあります。

たとえば、

「挨拶をされたら笑顔で返すべきだ!」
「LINEを既読したら、その日のうちに返すべきだ!」

こういった暗黙のルールは、相手にとって常識ではないこともあります。

「こういう反応をしてほしい」という期待が潜在的にあり、異なる結果が返ってくると、相手の反応がきつく映って見えてしまうことがあります。

特に相手が上司や先輩、家族など、簡単に関係を切れない場合、その影響はより深刻になりがちです。

相手の反応を見て沸き起こる不安や悲しさが、さらにあなたの心を縛り付けてしまうのです。


これらの理由は一例ですが、決してあなたが「弱いから」「ダメだから」ではありません。

あなたが周りの人との関係を大切にしている気持ちがあるからこそ湧いてきているだけ。

ただ、その請け負うバランスが少しだけ、あなたを苦しめているのです。

なぜなら、

他人の機嫌や性格は、その人自身の課題であり、あなたが請け負う(コントロールする)ものではないからです。

その全ての責任を負う必要も全く、あなたが悪いわけでは決してありません。

今日からできる4つのステップ:苦手な人に振り回されないための心の護身術

STEP1 相手と自分との間に境界線を引く

  • 相手のネガティブな態度が見えたら、まずは心の前でシャッターを「ガラガラガラ」と下ろすイメージをしてみましょう。

    イメージするだけでも、相手と自分との問題を分けて考えることに繋がります。

    相手の攻撃的なエネルギーをブロックし、あなたの心の中まで入れさせないのです。
    (”仕切り”はプライバシー保護でも使われ、心理面でも程よい効果を及ぼします)
  • イメージが苦手な人は、行動面で線を引くのもいいでしょう。

    座席なら、物理的に少し距離を取る。
    (間に物を置くでもいいです)

    会話時なら、視線を外す。
    (相手の目と目の間の付け根あたりを見る。ぼんやりと全体を見るなど)
  • このイメージや行動は、特に直接的な反論が難しい相手に対して有効です。

    相手を無視しているわけではなく、あなたの心の安全地帯を守るための積極的な防衛策です。

    最初はうまくいかないかもしれません。

    でも「相手と自分との間に線を引くことがまず重要なんだ!」

    それをまず意識してみると、相手の感情に巻き込まれずに少し客観的に過ごせるでしょう。

STEP2 安全な距離感でやり取り

  • 「心のシャッター」を下ろせても、相手とやり取りしないといけない場面もあるでしょう。

    その時にネガティブなことを言われても、全てを真剣に聞く必要はありません。

    「はい」「ええ」「へーそうなんですね」と肯定も否定もしない相槌をしながら、心の中では別のことを考えたり、意識を逸らしていいのです。
  • 相槌を打つことで、相手は「話を聞いてもらっている」と感じるかもしれませんが、あなたは感情的に巻き込まれていなく、安全な距離を保つことができます。

    「機嫌の悪いラジオのパーソナリティが話していると思って聞いている」

    「〇〇というワードを何回言ってくるか予想して、当てるようにしている(ゲーム感覚)」

    という風にして、自分の心の中には侵入させないようにしている人もいます。
  • ただし、重要な指示や業務連絡は聞き逃さないように注意が必要です。

    あくまで、不必要なネガティブな感情に飲まれないための方法なのです。

STEP3 相手の課題として考える

  • 機嫌の悪い人やキツイ態度を取る人は、その人自身が何か問題を抱えていたり、心に余裕がなかったりする場合も多いです。

    「もしかしたら、別件で何か大変なことがあったのかも」

    「あの人にとっての何か重要なことが満たされていないのかも」

    少し引いた視点から相手の言動の「背景」を推測してみましょう。
  • 「私が何か悪いことをしたのかも」と矢印を自分自身に向けるのではなく、

    相手のあらゆる事情を想像することによって、いったん矢印の方向を返してあげましょう。
  • ただし、ここで重要なのは、相手に同情しすぎて「自分の問題」として取り込まないことです。

    あくまで「あの人の問題」として冷静に捉えて、相手の言動に反応し過ぎないようにしましょう。

    「かわいそうだから、私が我慢しよう」ではなく、「そういう事情があるかもしれないから、私は私でがんばろう」というスタンスです。

STEP4 クールダウンして、自他の期待を見直す

  • 相手の言動によって、自分の心の中にイライラや不安、悲しみといった感情が湧き上がってくることもあるでしょう。

    その場合は、「今、私の心の温度計は〇℃くらいかも」と自分の感情を観察してみてください。
  • その感情が沸点に達する前に、意識的にクールダウンする時間を作ります。

    落ち着いた後に、「なんであんなに気にし過ぎていたんだろう」と思う瞬間ってありますよね。

    振り回されないためにも、昂った感情をいったん冷静に戻す必要があるのです。

    たとえば、

    いったんその場を離れて深呼吸。
    呼吸法が有効。頭の中で「いーち、にー、さーん」と数えながら鼻で息を吸って、その倍の時間をかけてゆっくりと口から息を吐き出す)

    五感に意識を向けてグラウンディング
    (冷たい飲み物を飲む、好きな音楽を数分だけ聴く、窓の外の自然景色を眺めるなど)

    このように短時間でできるリフレッシュ方法をいくつか持っておくと便利です。
  • クールダウンできたら、自分の中に何が沸き起こっていたか?を分析してみましょう。

    「どうしてそこまで感情が揺さぶられたのか?相手の課題では?」

    「相手の期待を過剰に受け取り過ぎていないか?」

    「私の相手に対する期待(~べき)が一方的になっていないか?」

    感情的になりそうな自分に早めに気づいて消火できると、相手のペースに巻き込まれずに済みます。

    自分の気持ちを分析し、自他の期待を見直すことができると、相手との関係性が楽になりますよ。

    イライラが強い場合は要注意
    クールダウンする前に分析してしまうと、揺さぶられていた感情が反復して増強される場合もあるので、順番には気をつけましょう。特に就寝前は控えましょう。

とはいえ、相手の振り回すパワーが強かったり、こちらが線を引いていても平気で越えてくる人もいます。

時には断ったり、自己主張も必要になってくるでしょう。

ただ、言うのは簡単ですが、実際にバランスを取るのって難しいですよね。

機嫌が悪い人やキツイ人に囲まれて過ごす毎日は、本当に心が消耗します。

でも、あなたが自分の心を守るための知識とスキルを身につければ、その状況は少しずつ緩和していくでしょう。

最後に:
あなたは、誰かの不機嫌の「受け皿」になる必要はありません。
自分を守る知恵を身につけ、心の平穏を取り戻すことは、必ずできます。
  • 今回お伝えした心の護身術は、自転車の練習と同じで、すぐにできなくてもいいのです。

    少しずつ、意識して試していく中で、相手と自分との間に線を引くことがだんだんと上手になっていきます。

    大切なのは、「私は自分の心を守る権利がある」と知り、そのために行動を起こすことです。
  • もし人間関係の悩みがどうしても解決せず、日々の生活に大きな支障が出ているなら、どうか一人で抱え込まず、専門家である私たちカウンセラーに相談することも考えてみてください。

    カウンセリングの場は、あなたが安心して自分の気持ちを話し、具体的な対処法やコミュニケーションのスキルを学び、心の元気を取り戻すための安全な場所です。
    よかったら利用してみてください。

今日紹介した内容と関連する記事には、以下が参考になりますので、よかったら読んでみて下さい。
①相手との線引きや距離感を見つめ直したい方はこちら(「対人関係療法とは?」)
②相手の期待に応えなければいけない考え方が染みついている方はこちら(「認知行動療法とは?」)
③相手との関係だけでなく、自分のことも大事にするコミュニケーションを知りたい方はこちら(「アサーションとは?」)
④相手の言動(特に相手の怒り)の背景を冷静に分析したい方はこちら(「アンガーマネジメントとは?」)

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この記事を書いた人

とげまるのアバター とげまる 臨床心理士・公認心理師

臨床経験11年(2025年時点)
小中高のスクールカウンセリング、外部EAPにて企業のメンタルヘルス支援を経て、現在は精神科・心療内科クリニックと企業社内カウンセラーとして勤務。
専門領域:認知行動療法、人間性心理学、復職支援、心理教育
趣味:youtube鑑賞、食べ歩き

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