
- SNSで友達のキラキラした投稿を見て、「自分はなんでこんな生活なんだ…」と考え込んで落ち込む
- テレワークで雑談が減り、「さっきの報告、変に思われてないかな?」と気になって仕事が手につかない
- 「なんであんなこと言っちゃったんだろう…」と休日もグルグル考え込んで楽しめない
みなさんは、こうした「ぐるぐる思考=反芻(はんすう)」に悩んでいませんか?

終わったことを気にしなくていいのに、つい周りと比較してグルグル考えちゃう。切り替えたいのに…考えちゃうんだよね
考え続けて答えが見つかればいいのですが、多くの場合は底なし沼のようにはまり込み、不安だけが募ってしまいます。
切り替えたくても切り替えられない…嫌な記憶が頭から離れないのは本当につらいことですよね。
つい考えすぎてしまう自分を責めてしまう方も多いでしょう。



人は考えないでおこうと思えば思うほど、逆にその事に囚われてしまう傾向があるから、厄介だよね
今回はこの『反芻』と呼ばれる現象について解説し、日々のちょっとした工夫でこの反芻地獄から抜け出すヒントを紹介したいと思います。
この記事では、以下について解説します。
- なぜ反芻が起きるのか?反芻思考が与える影響について解説
- 反芻から抜け出すための5つのテクニックを紹介
この記事を読み終える頃には、今日から使える対処法が分かり、考え込んでしまう時間が減るでしょう。
反芻思考とは?その与える影響とは?


反芻思考とは、「ネガティブな気分の症状、原因、状況、意味、結果に関する反復的な思考」と定義されています。



牛さんが、一度食べた草を口に戻して、噛んでまた飲み込む…あの『反芻』と同じような動きを、脳内で行っている状態だね
心理学における反芻は、失敗や後悔、恥といった「消化しきれないネガティブな感情」を、何度も味わい直してしまう行為です。
これを繰り返すとストレスが増幅し、うつ病や不安症のリスクを高めたり、その症状を維持させてしまう要因にもなると言われています。
反芻は基本的には自分自身に焦点が当たってネガティブに考え続けるのが特徴で、自己注目の一種でもあります(他罰的に相手に焦点が当たった怒り反芻もあります)。
反芻思考が起こる原因は、脳の機能と現代社会が関係している?
「私がネガティブな性格だから…」と自分を責める必要はありません。
反芻思考が起こる原因として、脳の機能的なクセが関係していますし、もしかしたら高度な現代社会が一役買っている可能性もあります。
脳のアイドリング機能である「DMN」の影響


脳には「デフォルトモードネットワーク(DMN)」と呼ばれる機能があります。
これはぼんやりしている時に活動する脳の回路です。
狩猟時代から人間の身を守るために、シミュレーション機能として働いていたものです。



狩猟時代なら『気を抜いていたら、敵に襲われるかも』って考えるのは大事な能力だったんだ。でも現代ではそれが『余計な悩み』を生んじゃうんだね
オフの日なのに、いろいろな雑念や思考がとりとめもなく出てくるのは、このDMNが過剰に活動している可能性があります。
脳が疲弊していたり、ストレスがかかっていたりすると、このDMNが過剰に活動し、ブレーキが効かなくなります。
特に現代は高度なマルチタスクを求められ、脳疲労を起こしやすく、『考えすぎる』癖を止めにくくなってしまうのです。



疲れが溜まっている時ほど、いつもよりネガティブな考えが浮かんでくるのは、あながち間違いではないのです
反芻は現代社会で起こりやすくなっている?


現代はVUCA時代(変動性(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、曖昧性(Ambiguity)の頭文字を取った言葉)と呼ばれる予測が困難な社会となっています。
情報が高度化・大量化されて急速なデジタル化が進み、DX疲れ、SNS疲れで脳疲労を引き起こしている人も多いでしょう。
また、テレワークやライフスタイルの変化で、人との何気ない雑談が減りました。
雑談は、他者との会話の中で自分の思い込みが修正されたり、辛い境遇を共感してもらえることで感情が緩和されたりする、重要なケアの時間でした。
それが失われ、自分の考えを客観視する機会がなくなり、一人で内向きに考え込みやすくなっている人も多いでしょう。



頑張って周りについていこうとして、脳が休まっていなかったのかも。周りと比べ続けて、常に「私はこれでいいのか?」と不安に晒された結果、反芻を生み出しやすくなっていたのかもしれない
今日から使える「ぐるぐる思考」から抜け出す5つのテクニック


この反芻から抜け出すには、どういった工夫が必要なのかを解説します。
大まかには、
- 反芻していることに気づき
- その状況を回避、もしくは対処(別方向へ持っていく)
『反芻していることに気づき』については、この記事を最後まで読んでいただけると気づきが増えると思います。
反芻という事象を知ることで、『あ、これが反芻か』『いま反芻の状態に入っているな』とリアルタイムに気づきやすくなります。



今の自分の状態に客観的に気づけることでメタ認知能力が上がるよ。ちなみにこれを高めることにも繋がるのが、最近話題の『マインドフルネス』なんだ
以下に紹介する5つのテクニックは、『その状況を回避、もしくは対処(別方向へ持っていく)』になります。
①『状況の再設定』で、沼の入り口を塞ぐ


反芻が始まる「きっかけ(トリガー)」を物理的に遠ざけ、パターンを変える方法です。
ここでの目標は、トリガー場面を極端に遠ざけるというより、『悩みすぎる沼』に陥るまでの時間をほんの少しでも引き延ばしたり、陥らないようにパターンを変えることを目指します。
たとえば、以下のトリガーの場合では、こういった遠ざける工夫が考えられるでしょう。
- スマホを寝室に持ち込まない
(目覚まし機能も兼ねているなら、以下を試みてもいいでしょう) - ベッドから手を伸ばしても届かない部屋の隅に充電器(スマホ)を置く
これなら目覚ましは聞こえますし、緊急の連絡も確認できます。
布団に入ってから「ちょっとだけ」とSNSを見て反芻の沼にはまる…という最悪のパターンは物理的に防げます。
上司を避けることはできませんので、反芻が始まる直前に決まった行動を挟むことで、反芻してしまうパターンを遠ざけられるかもしれません。
- 上司とのストレスフルな会話が終わったら、必ず席を立って冷たい水を一杯飲む
- 必ず〇〇さんに声を掛けて雑談してから、自席に戻る
- AIを使って、慰めてもらってから、仕事に着手する
いつもの反芻のパターンを回避し、いつもと違うステップを挟むことで、無意識に反芻モードに入る脳のスイッチを一度リセットし、反芻の沼に入るのを防ぎます。
②『合気道』のようにネガティブ刺激を受け流す


反芻のきっかけとなる情報や場面に触れてしまった時の対処法です。
SNS情報や相手から言われたことなどによって、ネガティブに真正面から受け止めないことです。
「自分はダメだ」と思うのではなく、「ふーん。あなたはそう思うんだね」「こういうことをした後のメリット/デメリットは何かな?」と、ネガティブ刺激に飲み込まれないで距離を取って、横に流す感覚です。
お笑い芸人さんのようなストレスやハプニングをユーモアに昇華するのも非常に有効ですね。
- SNSなどで「自分はダメだ」と感じさせる情報に触れたら、心の中で「この人は、こういう価値観で発信してるんだな(事実確認)」と分析します。
- その上で、「その価値観に、私は同意する?しない?」と自分に問いかけます(自分軸)。
- もし「同意しない(自分は自分だ)」と思えたら、スルーすればいいでしょう。
「同意してしまう(自分はダメだ)」と感じたら、以下に解説するテクニック③や④を試みてください。 - ユーモアに変換してみる。たとえば「すごいなー。私には無理だけど、こんなに頑張っていると、まるでハムスターが回し車でずっと走っているみたいに疲れないのかな」と、自分とは違う世界の出来事として距離を置く感覚です。
③『積極的休養』で、脳を上書きする(気晴らし)


休日に家でゴロゴロしていたら、かえって考え事をして疲れた…という経験はありませんか? 脳が疲れている時こそ、『積極的休養』が有効です。
休養には『積極的休養』と『消極的休養』の2種類があります。
ウォーキング、スポーツ、マッサージなど軽度な運動を取り入れることで、全身の血流を促進させ、心臓のポンプ機能を助けることによって、疲労回復への効果が高まります。
軽い運動や没頭できる趣味に取り組むことで、強制的に『嫌なことが頭から離れない状態』を断ち切ることができます。
また、副交感神経の活性が優位となり、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンを分泌させることで、心のバランスを整える効果もあります。



ポイントは、その活動に『没頭できる』こと。散歩でも、考え事をしながらでは効果は少なくなるよ。活動中はぐるぐると考え事をするのではなく、『今ここ』の景色や風、雰囲気に集中することで、脳のリソースを反芻から引き剥がすことができるんだ
ただし、心が疲弊しきっている時に、無理に活動的なことをしようとするのはあまりお勧めしません。骨折しているのに「走り込みが足りない!」と言うようなものです。
心身が限界まで疲弊している時は、無理せず睡眠を優先するなど『消極的休養』を取ってくださいね。
一方で、あまりにも動かない系の『消極的休養』を長く続けると、心拍・血圧が低下し、血流の速度が落ちて有害な物質が体内に残りやすくなり、かえって疲れやだるさ、頭痛などの原因にもなります。その場合は『積極的休養』を取り入れましょう。
『気晴らし』=『アクティブなこと』では必ずしもありません。
ポイントは『没頭できる』×『しっかりとした休養である』ことです。
反芻以外の感覚に脳のリソースを割くことで、あなたに合った気晴らし(資源)を見つけることが重要でしょう。
④『事実』と『解釈』を分ける


「不安」や「思い込み」によって、反芻が膨らんでしまっている時に有効なテクニックです。
不安で頭がいっぱいになったら、「それは事実? それとも私の解釈?」と問いかけ、事実と感情を分離させます。
たとえば、LINEの返信が1日ないという出来事に対して、
- 反芻(解釈):「LINEの返信がない。嫌われたに違いない」
- 反論(事実の):「『嫌われた』という事実はまだない。『忙しい』『寝落ち』の可能性もある。私が勝手に最悪のストーリーを作っているだけかも」
情報が不確定であるほど、反芻は猛威を振るうものです。
不確定なことに対して、「〇〇に違いない」と考えてしまうのを、「(どう思ってるか)今はまだ分からない」という、ありのままの「不確定な事実」に戻す作業を通じて、「不安」や「思い込み」によって膨らんだ反芻にピリオドを打つ感じです。
⑤『今、ここ』に意識を戻す『マインドフルネス』


マインドフルネスは市民権を得て、大分有名なアプローチになってきましたね。
反芻は「過去」や「未来」に意識が飛んでいる状態です。
それを「今、ここ」の感覚(呼吸、足の裏の感覚、聞こえる音など)に戻す練習です。
東洋の瞑想から発展していて、実施するのに戸惑う方も多いですが、治療効果があるエビデンスもたくさん存在しています(認知行動療法という治療法として、医療現場などでも取り入れています)。
マインドフルネスでは、”考えないようにする”のではなく、意識的に別の刺激に意識を向けたり、対象と距離を置くなどを通して、ぐるぐる思考の渦から離れることを実践します。



これは『注意の筋トレ』とも言えるよ。繰り返すことで、思考の渦に飲み込まれにくくなるんだ
マインドフルネスは、統合失調症や解離性障害、PTSDの方の症状を悪化させてしまう場合もあるため、必ず専門家にご相談しましょう。
【30秒でできる!簡易マインドフルネスの実践法】
- 呼吸に集中する: 楽な姿勢で座り、呼吸の「吸う・吐く」感覚だけに注意を向けます。10分もやる必要はありません。まずは「3回深呼吸する間だけ」から始めてみましょう。
- 注意が呼吸から逸れたら気づく: もし注意が反芻の思考へ行っていたら、「あ、また〇〇(反芻)のこと考えてたな」と気づきます(ここで考えてしまった自分を責めない!)。
- 戻す: そっと注意を呼吸に戻します(①呼吸に集中する)。
この「逸れたことに気づいて、戻す」という反復が、『注意の筋トレ』になります。
マインドフルネスは「問題」を直接的に解決するものではありません。
問題によって引き起こされた「心がしつこくダメージを負うこと(反芻)」を防ぐような心のケアなのです。
反芻から抜け出して気分が安定するだけでなく、集中力などもアップしますよ。
以下の外部記事にマインドフルネスのワークが紹介されているので、もし簡単な実践を知りたい方は参考にしてみてくださいね。


よく勘違いされるポイントとして、マインドフルネスは「無になる」ことではありません。
反芻などによって意識が彷徨っていること自体が悪いわけではありません。
ただ、思考が彷徨っているな~と「気づいて、注意を”今”に戻す」ことが大事なのです。
その繰り返しの練習が、マインドフルネス力を高めるポイントです。
意識が逸れるのは「失敗」ではありません。
逸れたことに気づけた時点で、あなたの「反芻を客観視する力」(メタ認知能力)は鍛えられています。
以上、ついネガティブに考えてしまう反芻(ぐるぐる思考)について解説してきました。
私たちは過去を振り返ることで反省して、次をどうするか?と考えることは生きていく上でとても大事な活動です。
しかし、反省でも『反芻』のような過去に囚われて、徒にネガティブに考え続けることは精神的なダメージを生みます。
一方で、自分の行動を客観的に振り返り、そこから意味を見出し、未来の改善や成長に繋げる『省察』にフォーカスされた反省なら、よりよい成長を遂げるでしょう。
今あなたが過去を振り返って考えている活動は『反芻』でしょうか?『省察』でしょうか?ぜひこの記事を読んだことによって、自分を苦しめる反芻から抜け出すきっかけになれば幸いです。
悩みすぎてしまうのは、現状をより良くしたい気持ちの表れでもあります。
あなたのその真剣な姿勢は大事にしつつ、思考との向き合い方を少し変えるだけで、心の平穏を取り戻すことは必ずできます。
- 反芻(ぐるぐる思考)は、あなたの性格が悪いからではありません。単なる脳の癖です。
そのクセは、今回ご紹介したようなテクニックを練習することで、必ず変えていくことができます。 - とはいえ、反芻という現象は、思考の渦にはまっている時はなかなか自力で脱出しにくいものです。
今回お伝えしたテクニックを一度に全部できる必要はないです。あなたに合った過ごし方を見つけることが重要です。
「これなら自分にもできそうかも」と、たった一つでも感じていただけたら、まずはそれを1週間続けてみてください。
ぐるぐる思考の沼にはまる時間が、昨日より少しでも短くなったら、それはものすごい進歩です(筋トレの成果なのです)。
それを継続的に繰り返していくことで、反芻から抜け出しやすくなることへと繋がります。 - 反芻は手ごわいですし、マインドフルネスなどのテクニックは難しく、一人では解決できないことも多いと思います。その時は専門家である私たちカウンセラーを利用することもぜひ検討してみてくださいね。
今日紹介した内容と関連する記事には、以下が参考になりますので、よかったら読んでみて下さい。
①不安や思い込みで反芻が強くなっている方はこちら(「認知行動療法とは?」)
②意識を向け直すマインドフルネスを知りたい方はこちら(「マインドフルネスとは?」)←作成中です。






