

全3回にわたってストレスのメカニズムについて解説しています。
前回の第1回目の記事では、不調の原因は「体・心・環境」の複雑に影響し合っているというお話をしました。



しんどくなる要因は複雑だから、解決に時間がかかる。
だから無理しすぎないことは大事という話もしたね


でも同じ環境で元気な人もいれば、しんどくなりやすい人もいるけど、それはどうして?
この疑問については今回の記事に書かれている「ストレス脆弱性モデル」を知ると、理解しやすくなります。
今回は誰しも限界を超えないために、自分の心のキャパを決める仕組みと、それの補強についてお話しします。
「ストレス脆弱性モデル」から不調の仕組みを知る~心のダムは万全?~
心身の不調を理解するための2つ目の枠組みは、「ストレス脆弱性モデル」で、第1回目の記事で紹介した「生物心理社会モデル」とも深く関わります。
ストレスが私たちの心身にどのように影響し、不調として現れるのか、どう対処していけるのかを理解しやすくしたモデルです。
ここではイメージしやすいように「心のダム」に例えて説明します。




①心の「ダム」(素因・脆弱性)
私たちには、それぞれ異なる貯水許容量や強度の「心のダム」を持っていると想像してください。
その人のストレスに対する「元々の許容量」や「衝撃への耐性」を表しています。
生物学的側面から見ると、
生まれ持った遺伝的な特性や体質、脳の機能的な特徴、得手不得手など、ダム自体の基本的な「材質」や「許容量」にあたります。
流れてくる雨水を受け止められる容積の大きさだけでなく、吸収しやすい雨水の種類(得手不得手)なども関係します。


心理的側面から見ると、
これまでの人生経験や物事の捉え方のクセ、感情のコントロールはダムの頑丈さに影響します。
過去のつらい体験やネガティブに考えやすい傾向、過度な完璧主義などは、ダム壁にできた「ヒビ」や「もろくなっている部分」を表します。
流れてくる雨水を抱え込みにくい状態でしょう。


ダムの貯水許容量や材質、そして「ヒビ」の有無や深さは人それぞれ異なります。
②ダムに流れ込む「雨水」(ストレッサー)
「心のダム」には、日常生活のさまざまな出来事である「雨水」が絶えず流れ込んできます。
この「雨水」が、いわゆる「ストレッサー(ストレスの原因)」です。
たとえば、以下のようなストレッサーが流れ込み、ダムの増水要因になり得ます。
| 社会的なストレス | 職場のプレッシャー、人間関係の葛藤、過重労働など |
| 環境的なストレス | 家庭内の問題、経済的な不安、騒音や環境汚染など |
| 心理的なストレス | 病気の診断、大切な人との別れ、試験や目標達成へのプレッシャーなど |
| 生物学的なストレス | 睡眠不足や不規則な食生活、身体的な疲労、病気など |
これらの「雨水」は、ある時は穏やかに、ある時は激しい勢いでダムに流れ込んできます。
そして重要なのは、この流入する雨水の量が極端に多かったり、その勢いが非常に強かったりすれば、どんなに頑丈なダムを持っている人でも、決壊の危機に瀕する可能性があるということです。
③ダムを守る「放流設備」と「管理体制」(対処スキル・サポート)
ダムには流れ込む雨水に対して、安全に外部へ逃がすための「放流設備」や、状態を適切に維持管理する「管理体制」が備わっています。
これは「ストレスへの対処を身につける(コーピングスキル)」や「環境調整」にあたります。
放流設備(コーピングスキル)
- 気分転換(趣味、運動、音楽など)
- 問題解決のために具体的に行動する
- 信頼できる人に相談
- リラクセーション(深呼吸、瞑想など)
- ポジティブに考え直してみる
ストレッサーの「雨水」を積極的に上手く減らしたり、受け流したりする力のことです。


管理体制(環境調整やサポート)
- 家族や友人、同僚からの理解や具体的な手助け
- 専門機関(医師、カウンセラー、相談窓口)のサポート
- 職場や地域社会における支援制度の利用
ダムが決壊しないように外部から支え、維持管理を手伝ってくれる力のことです。
また、ダムに「ヒビ」が見つかった場合に、それを早期に修復する手助けも含まれます。


どれだけ頑丈なダムでも、素晴らしい放流設備や管理体制があっても、流れ込む「雨水」の量がダムの貯水許容量を超え、かつ「放流設備」だけでは処理しきれなくなったとき…ダムは「決壊」し、大きな被害をもたらします。
これが、心身に様々な不調や症状が現れる状態です。
うつ状態、神経過敏、極度の不安、不眠、体への痛みなどの形で現れます。
今まで蓄積した「ダムのヒビ」が多いほど、少量の雨水でも決壊しやすくなります。
また、放流能力が低い場合や、管理体制が整っていない場合も、決壊のリスクは高まるでしょう。
第2回の記事はここまでとなります。
自分のストレス許容量をどのように考えればいいか?について、「心のダム」に例えてお話ししました



単純に我慢するという発想ではなく、流れ込む水を減らしたり(環境調整)、放流したり(コーピング)することで、決壊を防げることが分かったね
しかし、もしダムが決壊したり、ダムの許容量が溢れそうになってきている場合、具体的に私たちの「体」にはどんな異変が起きるのでしょうか?
「動悸が止まらない」「眠れない」「謎の頭痛がする」
これらの症状は、もしかしたら体の中にある自律神経が崩れ始めているサインかもしれません。
最終回となる第3回は、ストレスと体の関係を握る自律神経について、詳しく解説します。










