【第1回 緊急対処編】 なぜイライラするの?怒りの正体と、今すぐ鎮める方法とは

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私たちは『怒り』とどう付き合えばいいか、学校で習ったり、学ぶことはありません。

『喜び』や『悲しみ』などの感情は受け入れられることも多いですが、『怒り』は出してはいけない/良くない感情として扱われる事が多いです。

でも、『怒り』をうまく処理できないとデメリットもあるの。

  • 怒りを抑え込むと精神・身体症状に影響する。長引いてしまうと、疲弊してうつ病へと発展することもある。
  • 怒りを爆発させると人間関係が悪化する。時には手が出たり、暴言を吐いて加害者になってしまう場合もある。
  • 怒りをコントロールできなくて自己嫌悪に陥る。うまく対応できないことで自己肯定感や自己効力感が下がる。

アンガーマネジメントは怒りをゼロにするわけでもなく、否定するものでもありません。

怒りの感情を大事にしつつも、感情に振り回されずにコントロールし、適切な形で表現できることを目指します。

適切に怒りを処理して葛藤を減らすことで、心身の健康や人間関係を円滑に保つことに繋がります。

「怒りを出しすぎて人間関係が上手くいかない」、「怒りを抑え込みすぎてしんどくなる」、怒ってしまいがちな人を理解したい、そういった方はぜひこの記事を読んでみてくださいね。

この記事は3回にわたってお届けしていきます。
あなたの怒りと上手く付き合うスキルとしてお役に立てれば幸いです。

病気によっては、一時的に怒りをコントロールすることが難しい状態の時があります。

  • うつ状態によってイライラをコントロールする力自体が弱まっている時
  • 双極性障害の躁状態・混合状態の時
  • ホルモンバランスが崩れている時

こういった状態像の時は、感情をコントロールすることへの負担が強くて症状が悪化したり、失敗体験が重なって自己嫌悪になる場合もあります。まずは今の症状を緩和することが先決です。

目次

怒りは、“理想と現実が合わない”といった期待や欲求が成就されない時に生じる感情です。

こういった“~しなければならない”“~べき”の思考や認知と結びつきやすいです。

予定していたことを邪魔されたり、理由も無いのに傷つけられたり、自分が不当に扱われたり…と考えると、怒りがこみ上げてきますよね。

私たちは、単純に損害を受けたというだけで怒るのではありません。

ルールや期待など自分にとっての“こうあるべき“を侵害された時に怒りが生じやすいのです。

わざとではない行為に怒りを感じるかどうかは、道理をどのように考えるかに関係しています。

単純な話かもしれませんが、怒りの問題を難しくしているのは、何を公正と考え、何を当然と考えるかが人によって大きく異なるという点です。

人によって“こうあるべき”という価値観や常識は、生まれ育った環境や経験によって異なるのが自然です。

そのため、自分の思っている通りに人は反応しないと分かっていても、思った通りにいかない時には怒りがこみ上げてくるものです。

怒りが発生するのは、出来事をどう意味づけたか?の図

大事なことは、怒りを感じないようにすることではありません。

『怒り』は自然な感情であると同時に、あなたの大事にしている価値観が隠れている場合もありますので大切にしましょう。

ただ表現の仕方(アウトプット)によってはデメリットへ繋がるため、出来事に対して、どう捉えて、何に傷ついたのか?に気づいて、それをどう表現するか?が重要です。

”怒り”自体は人間として自然なものだから、否定しなくていいよ。
その”怒り”を大事なサインと捉えて、自分は何に傷ついたり、困っているのか?それをどう表現するといいのか?が重要なんだ

二次感情の下に一次感情があることを氷山に喩えたイラスト

怒りは二次感情とも言われ、その下にある一次感情(本当の気持ち)の化けた姿である場合が多いです。

一次感情は一つだけでなく、ミックスされた状態で氷面下に隠れている場合も多く、気づきにくいものです。

一次感情に気づけると、『怒り』の表現の仕方や解消の仕方が大分変わっていきます。

(電波が悪くても、帰宅途中にメールを返せるだろうといったツッコミはなしです(笑)。焦点はそこではありません)

さて、この時の彼女の一次感情は何でしょうか?

彼女は彼氏が帰ってこないことで、浮気されているかもといった『不安』や大事にされていない『悲しさ』があったのかもしれません。

もしそれが一次感情であれば、それを彼氏に伝えた方がよかったかもしれません。

『最近上手くいっていないから、連絡が返ってこないと、他の女性と一緒にいるんじゃないかって不安だったの。自信もなくなっていたから、返事が来ないことで大事にされなくなったのかなって悲しくなっちゃったの』

悲しさも交えて伝えると、彼氏の応対も変わったかもしれません。

一次感情をうまく伝えることができると、相手は親身になってくれることの方が多い。でも二次感情である『怒り』の方は相手にも伝染しやすく、防衛本能として反撃されやすいんだ。

攻撃のやりとり自体が新たなストレスの蓄積となり、怒りやすい状態をさらに作ってしまうという悪循環に陥ってしまうのです。

怒りといっても、イライラしている段階~激高の段階までさまざまです。

どのような事が怒りの引き金になりやすいかは、その人の過去の経験や、その人が守らなければならないと思っている価値観やルールに関係しています。

また、日々のプチストレスや不満、疲労などが蓄積した結果、ストレスを処理するパワーが無くなってきて、いつでも怒りやすい状態が出来上がっている場合もあります。

急に怒りが出た時は、

  • 日々蓄積した不安や不満(一次感情)によって、コップが溢れやすい状態だったからかもしれません。

ストレスを溜め込まないように、小さな不満から小出しで表現・解消していくことが大事です。

段階的な怒りを説明したイラスト。

怒りは大きくなる前に対処しよう。

コントロール方法はいくつかありますが、大きく分けて以下に分けられるでしょう。

上から順番に進めていくといいでしょう。下に行くほど時間はかかりますが、自己理解が深まり、根本的な怒りの源を解消したり、怒りを上手くコントロールしやすい体質になっていきます。

『怒り』の強さによっては衝動性を伴うこともあり、冷静に考えるよりも先に行動に起こしてしまうことが多いです。

まずは怒りの状況から心と身体をいったん離して、気持ちを切り替えることで怒りとの距離を取ることが先決です。

よく有名な『最初の6秒を我慢しろ』というのは、この衝動性(怒りの感情のピークは6秒と言われているため)をやり過ごすために行われます。

でも6秒なんかで怒りが収まりません!余計にムカムカする時はどうしたらいいの!?

その場合は、トイレへ行ったり、外の空気を吸うなど、いったん怒りの状況から物理的に離れよう。怒りの対象が目の前にいるから、怒りを反芻してしまいやすくなるよ(反芻は怒りを増幅させます)

以下は、瞬発力のある衝動的な怒りを鎮める方法です。

スクロールできます

ポイントは、怒りの感情をクールダウンすることだよ。思考を止めたり、怒りの場面から離れたり。文章化することも頭の中にあるものをいったん外に出すという意味で、怒りの対象を頭から引き離していることになるんだ


アンガーマネジメントでは、まずは「爆発」を防ぐことから始めましょう。

ここまで、怒りが生まれた瞬間に「爆発させない」ための緊急対処法(6秒ルールや呼吸法など)をご紹介しました。

これができるようになると、衝動的なトラブルは減るはずです。

しかし、これだけでは「イライラしやすさ」の根本解決にはなりません。

実は、あなたの怒りの根底にある大切な「価値観(コアビリーフ)」が隠れているからです。

次回は、あなたの怒りのタイプを整理し、「なぜ私はこんなに怒ってしまうのか?」という根本原因を一緒に見ていきましょう。

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この記事を書いた人

とげまるのアバター とげまる 臨床心理士・公認心理師

臨床経験11年(2025年時点)
小中高のスクールカウンセリング、外部EAPにて企業のメンタルヘルス支援を経て、現在は精神科・心療内科クリニックと企業社内カウンセラーとして勤務。
専門領域:認知行動療法、人間性心理学、復職支援、心理教育
趣味:youtube鑑賞、食べ歩き

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