【第3回 実践解決編】今日から使えるストレス対処法(コーピング)

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ストレスマネジメントについての解説もいよいよ最終回です。

今までストレスのメカニズムと、どういった要因が組み合わさってストレスと感じるかを説明してきました。

あとは「どうストレス対処するか(コーピング)」です。

多くの人は、ストレス解消法というと、お酒を飲むとか寝るとか、数個しか持っていません。

コーピングのポイントは、「質より量」が大事です。

あなたの引き出し(対処法)を今日ここで一気に増やして、どんなストレスが来ても「どれカードを切ろうかな?」と選べる自分になりましょう。

目次

④対処(コーピング)→⑤ストレス反応→⑥モニタリングと再評価の流れについての説明です。

R.S.ラザルスとS.フォルクマンのストレス理論のストレス対処(コーピング)→ストレス反応→再評価のプロセスを表した図

出来事をストレスフルだと判断し、対処可能かどうかを評価した上で、④対処(コーピング)を意識的にも無意識的にも選択します。

コーピングとは、ストレスにうまく対処しようとする思考や努力のことを指します。

「ストレス対処は〇〇すればいい」という風に、コーピングを単一的・固定的なもので考えるのではなく、「プロセス」として捉えることが重要です。

どちらかのコーピングが優れているというわけではなく、状況や体調によって柔軟に使い分けることが重要だよ!

しかし、私たちが実際に抱えるストレスには長期的に続くものも多いです。

ストレッサーがどう展開していくかによって、実際の対処行動の内容も変化していけるといいでしょう。

ネガティブな結果が出て、ストレス反応も悪化しているにも関わらず、同じコーピングを使い続けてしまうと、悪循環にはまってしまう場合もあります。

今のやり方を続けることで状況はどう展開しているか?

前に進んでいるのか?

停滞しているのか?

自分のストレス反応はどうなっているか?

俯瞰してモニタリングすることが重要です!

その結果を受けて、状況やコーピングを再評価し、時には別のコーピングへと柔軟に変えて、また新たな認知的評価を行っていく・・・。

この絶えず変化していく思考や行動の努力が、ストレスマネジメントで最重要となります(⑥モニタリングと再評価)。

コーピングは『質より量』とも言われます。

ストレスフルな状況は時間ともに展開していき、その時々に見合ったコーピングが必ずあるはずです。

状況によっては、問題を「受け入れる」「無視する」「耐える」といったことも、大切な戦略です。

コーピングを柔軟に使い分けるためには、コーピングの量も重要です

あなたはどのタイプのコーピングをどれくらい持っていますか?

もしバランスが悪ければ、これを機に増やしてみることでストレスとの付き合い方が少し楽になるかもしれません。

サポート資源はあらゆるプロセスに影響を与えることができます。

サポート資源は非常に重要な概念でもあるため、別記事でもまとめています。
(サポート資源の記事へリンク予定)

サポート資源は、ストレスフルな状況下での負担を軽減し、問題解決を具体的に助けることで、メンタルダウンを防ぐことに繋がります。


以上、3回にわたってストレスマネジメントについて解説してきました。

ストレスを”スパイス”にすることができると、人生はハリのあるものに変えることもできます。

そのためには気合と根性も大切ですが、それ以外にもストレスを乗り越えるためのさまざまなコーピングやサポート資源を活用してみましょう。

最後に:
ストレスに強い/弱いは、あなたの資質の問題ではありません。
ストレスマネジメントを理解し、たくさんのコーピングを見つけられると、自分でうまくストレスをコントロールできるでしょう。
  • 今回お伝えしたストレスマネジメントは、かなり複雑で総合的に書いた内容となります。

    全てを理解することは難しくても、コーピングだけでも理解が進むと、十分な助けになると思います。
  • もし自分の置かれている状況を整理して、うまくストレスマネジメントをしていきたい場合には、専門家である私たちカウンセラーに相談することもできます。
    困った時は、あなたの新たな『サポート資源』としてご活用ください。

【参考文献】
Richard S.Lazarus & Sunsan Folkman(1984).STRESS, APPRAISAL, AND COPING. Springer Publishing Company, Inc., New York.(本明 寛・春木 豊・織田正美)(監訳)(1991). ストレスの心理学:認知評価と対処の研究 実務教育出版.

影山隆之.「勤労者のためのコーピング特性簡易尺度(BSCP)の開発:信頼性・妥当性についての基礎的検討」.『産業衛生学雑誌』,2004,46,p103-114.

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この記事を書いた人

とげまるのアバター とげまる 臨床心理士・公認心理師

臨床経験11年(2025年時点)
小中高のスクールカウンセリング、外部EAPにて企業のメンタルヘルス支援を経て、現在は精神科・心療内科クリニックと企業社内カウンセラーとして勤務。
専門領域:認知行動療法、人間性心理学、復職支援、心理教育
趣味:youtube鑑賞、食べ歩き

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