生きづらさの根っこに触れる―「下向き矢印法」で頭の奥のルールを紐解く―

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認知行動療法(CBT)の実践を重ね、日々の「自動思考」に気づき、その都度バランスを整えられるようになっても、何度も同じようなパターンで落ち込んでしまうことがあります。

それは、あなたの心のさらに深層に、人生を通じて培ってきた「根源的なルール」が眠っているからかもしれません。

CBTでは、この心の奥底にある揺るぎない信念を「スキーマ(中核信念)」と呼びます。

今回は、表面的なつぶやきを超えて、あなたを縛る「生きづらさの根っこ」へとアプローチする「下向き矢印法(下方矢印法)」という手法について詳しく解説します。

目次

私たちが日常でキャッチする自動思考は、いわば海に浮かぶ「氷山の一角」です。

その海面下には、より強固な思考の土台が存在しています。

例えば、「仕事の書類に誤字を見つけた」という出来事に対して、「私はもう終わりだ」という自動思考が浮かんだとします。

これ自体も、少し極端な考えですが、なぜこれほど絶望してしまうのかを掘り下げていくと、

その奥には「失敗する人間には価値がない」「常に完璧でなければ見捨てられる」といった、

本人にとって絶対的な世界のルールが隠れているのです。

心太

このルールこそが「スキーマ」です

スキーマは、幼少期の経験や過去の大きな挫折などから、自分を守るために必死に作り上げてきた「心の防衛策」です。

しかし、大人になった現在のあなたにとっては、自分を縛り付ける枷(かせ)になってしまっていることが少なくありません。

この海面下のルールを浮かび上がらせるために用いるのが「下向き矢印法」です。

ノートに書いた一つの自動思考を出発点として、矢印を下に伸ばしながら、自分自身に次のような問いを重ねていきます。

「もし、その考えが本当だとしたら、何がそんなに最悪なのだろう?」
「それが意味することは、自分にとってどういうことだろう?」

具体的な例で考えてみましょう。

このように問いを繰り返すことで、最終的に「私は価値がない」「私は見捨てられる」といった、自分の行動を裏で操っていた究極の恐怖(中核信念)に突き当たります。

下向き矢印法によって自分のスキーマに気づいたとき、多くの人はショックを受けるかもしれません。

自分はこんなに極端な恐れを抱えていたのか

しかし、気づくことこそが、最大の治療ステップです。

なぜなら、正体が分からなかったからこそ不気味で怖かった不安が、
「あぁ、私は『完璧でなければ価値がない』という昔のルールに縛られていただけなんだ」と、
客観的な「単なる古いデータ」として処理できるようになるからです。

気づいた後は、「本当に失敗したら価値がなくなるのか?」「完璧ではなくても、大切にしてくれる人はいないか?」と、現在の現実をもとに、そのルールを少しずつ緩めていきます。

古いOSをアップデートするように、「失敗することもあるけれど、それと私の人間の価値は別だ」という、新しいマイルールを上書きしていくのです。

下向き矢印法は、自分の心の最もデリケートな部分に触れる作業です。

そのため、一人で行うと苦しくなったり、迷子になったりすることもあります。

大切なのは、その根っこにある信念は、あなたがこれまでの人生を必死に生き抜くために必要だった「お守り」でもあったと認めてあげることです。

これからは、そのお守りを少し軽くて扱いやすいものに作り直していく。

そんな心の奥深くの整理整頓を、焦らず、丁寧に進めていきましょう。

⇓⇓ひとりでやるのは難しいと感じたあなたへ⇓⇓

私たちのカウンセリングをぜひ活用してください。
一緒にスキーマを探すこともできますので、お気軽にご利用してみてくださいね。

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